2023年09月14日
2023年8月31日(木)~9月2日(土)に開催された日本行動神経内分泌研究会 第37回大会において、本学の芹澤祥太さん(薬学研究科1年)が優秀発表賞を受賞しました。同研究会は、社会的コミュニケーションや性行動、個体間のきずななど、多岐にわたるホルモンが関連する行動を研究している学術団体です。優秀発表賞は同大会で口頭発表した大学院生、学部生、ポスドクから1人選出される賞で、芹澤さんの「周生期の甲状腺ホルモンの一過的上昇は、鳥類刷り込みにおける愛着の形成に必要である」と題した研究発表が選定されました。
甲状腺ホルモンは脊椎動物において脳の形成?維持に重要で、ニワトリのヒナたちが親鳥に愛着を持つ刷り込み学習にも重要な役割を果たしています。しかし、ヒナたちが生まれる前後の数日間の「周生期」に一過的に上昇する甲状腺ホルモンが刷り込み学習に必要であるかどうかは明らかではありませんでした。
芹澤さんは、甲状腺ホルモンの合成を阻害するメチマゾールを周生期のヒナたちに投与して甲状腺ホルモンの合成を一時的に低下させたところ、投与されたヒナドリは刷り込み学習ができなくなったことを発表しました。
芹澤さんは受賞に際し、「これまで学会や研究会に積極的に参加して、動物行動学や内分泌学、脳神経科学を専門とする研究者や大学院生とのコミュニケーションに努めてきました。今回の受賞を受け、研究者や大学院生との議論は、新しい視点?解釈を得るためにとても重要であることを学びました。今後は、議論を通して得たアイデアを自身の研究に積極的に取り込むようにしていきたいと思います」と述べました。また、芹澤さんは本研究で2023年の3月に、冲永荘一学術文化奨励賞を受賞しており、これらの成果から今後もさらなる発展が期待されます。