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学びの流れとカリキュラム
学びの流れとカリキュラム

人間性豊かな医師の養成をめざしてアウトカム基盤型教育とマイルストーン?ロードマップ

1.アウトカム基盤型教育

現在の医学教育は、アウトカム基盤型医学教育をそのフレームワークとしています。本学部のアウトカムは以下9項目で、医学部卒業時点に学生が獲得すべき能力(コンピテンシー) をまとめたものです。

医学部のアウトカム

  • A)患者中心の医療を実践できる
  • B)安全な医療を提供できる
  • C)コミュニケーションスキルを活用して、患者や家族と良好な関係を築き、チームの一員として責任を果たせる
  • D)社会制度や法律に基づいた医療を実践できる
  • E)疾病の予防、健康の増進に貢献できる
  • F)代表的な疾病などに関する医学知識を身につけている
  • G)頻繁に遭遇する疾病などの初期診療ができる
  • H)EBM に立脚して必要な情報を収集?分析し、診療能力を向上する努力を生涯にわたって継続できる
  • I)医学?医療の進歩に貢献できる

アウトカム基盤型医学教育では、学修成果(アウトカム)?能力(コンピテンシー)を、目標として設定します。学生、教員、大学がその目標を共有し、達成まで責任をもつことが必要です。
医学部卒業までにそれらの目標を達成?習得できるよう、授業?実習を構成し、さらにそれらが達成できたかどうかを節目節目に評価することが重要です。アウトカムは大きく「プロフェッショナリズム」「コミュニケーション」「サイエンス」の3つの領域に分類できます。サイエンスは基礎医学、行動科学と社会医学、臨床医学、臨床実践などを含みます。これらの学修成果(アウトカム)を達成することが、医師国家試験の合格に結びつきます。

2.マイルストーンとロードマップ

学びの流れの中で「いつまでにどこまで到達するべきか」を一目でわかるようにマイルストーンとロードマップを作成しました。学生、教員、医学部がこの同じ地図を共有して一緒にアウトカムの達成をめざします。

卒業までのマイルストーン

  • 医学部1年から2年 基礎医学、行動科学、社会医学、一般教養および実習授業など
    • すべての科目への合格
  • 医学部2年から4年の9月 臨床医学、行動科学、社会医学、診断学実習など
    • すべての科目への合格
    • 共用試験(CBT , Pre-CC OSCE)の両方への合格
    • Student doctor 認証式
  • 医学部4年の10月から6年の6月 臨床実習
    • すべての臨床実習科目への合格
    • 総合試験への合格
    • Post-CC OSCEへの合格
  • 医学部6年の7月以降
    • 卒業試験への合格

ロードマップでは、各科目が時系列で並べられ、シラバスでは各科目の目標、授業、評価方法が一目でわかるようになっています。

学びのロードマップ

行動科学の科目、および関連する科目の体系

学生の行動規範の指針

カリキュラム医療現場の第一線で活躍する先生から学ぶことができます

本学部では、基本的内容から講義を繰り返し、少数科目を集中的に学習します。次年度にはその科目を別の視点から繰り返し学習する積み上げ方式により、効果的に知識を身につけます。また、医療の高度化に伴い、人間性や社会とのかかわりに関する学習が以前にも増して重要視されるなか、医学の知識だけでなく、患者さんとのかかわり方や患者さんを取り巻く社会に対する理解が求められます。医師を志す際、疾病や外傷の診断?治療を学ぶだけでなく、患者さんと医師および社会と医師とのかかわりを学ぶことも重要です。

シラバス

医学部のWEBシラバス

履修要項

履修要項

時間割

チーム医療

医学部がある板橋キャンパスは、医学部?薬学部?医療技術学部の医療系3学部が一つのキャンパスで学んでいます。また、大学棟には高度先進医療の現場でもある医学部附属病院が隣接しており、豊富な実習を通して実践的な医療を体験できます。3学部の学生が互いに交流を深めながら、現代医療において不可欠な「チーム医療」を効果的に学ぶことができる環境です。

医療系学部共同で行う、コミュニケーション教育

チーム医療に必要な知識?態度?行動を学ぶことを目的に、医学部?薬学部?医療技術学部の3学部が合同で行う授業です。医療人となる前に人としてのコミュニケーション能力を養うために学部学科の垣根を取り払った「ヒューマンコミュニケーション」を1年次に、高学年では「チーム医療」をより重視した専門職間および医療者?患者間における実践的コミュニケーションを「医療コミュニケーション」で学びます。毎回、学部学科の異なるメンバーでチームをつくり、講義や治療?療養計画の立案を通して、3職種がそれぞれの視点からチーム医療の意義や他職種コミュニケーションについて身につけていきます。

シミュレーション教育

近年、医療界においてシミュレーターを使って学ぶことが当たり前になってきました。シミュレーション教育の重要性は、医療の高度化などにより日々高まっており、多職種で構成されるチーム医療の推進が社会のニーズともなっています。また、シミュレーション教育は学生や医療従事者の能動的学習を可能にし、省察的実践、批判的思考も学ぶことができます。そこで帝京大学では2016年にシミュレーション教育研究センターを設置。医学部はもちろん、薬学部?医療技術学部?医学部附属病院?帝京高等看護学院の共同利用施設として授業や実習で活用されています。

シミュレーション教育研究センター

臨床能力を高める最先端のシミュレーション教育

5週間にわたる救急医学の臨床実習(BSL)ですが、現場では実施する機会の少ない手技を、最新のシミュレーション機器を用いた模擬体験授業で実施することで、臨床能力を高めています。授業の前半で主義を実施し、後半はグループディスカッションで治療を振り返ります。臨床現場を同様の体験により、チーム医療に必要なスキルを学び、臨床への橋渡しとなる授業です。

シミュレーション教育研究委員会

シミュレーション教育研究センターの機器や実習環境の整備、シミュレーション教育の普及?推進、シミュレーション教育を活用した社会貢献を3本柱とし、活動をしているセンターを運営しているのがシミュレーション教育研究委員会です。

FD?SD研修

教職員のためのワークショップを行い、成果を学生に還元する

医学部教育プログラムの質的向上に向けた取り組みとして、教員の教育スキルの向上や教職員のコミュニケーション教育も重要です。医学部では、本学における医学教育の質的向上を目的として、各種FD活動が盛んに行われています。医学教育モデル?コア?カリキュラムの改訂を含む近年の医学教育の進歩?発展や医学教育分野別評価基準日本版を踏まえて、常に新しい授業のあり方を研究しています。教授会などを通して、学部長からFD活動に関する啓蒙を積極的に行い、欠席の場合は理由書を添えた欠席届の提出を義務付けるなど、徹底して取り組んでいます。毎年、医師国家試験の傾向や対策を教員全員で検討する「国家試験ワークショップ」、本学における医学教育の質的向上を目的とし入職5年以内の教員を対象とした「医学教育に関するワークショップ」、さらに授業やカリキュラム改善?学内のgood practice共有などを目的として教員全員が参加する「カリキュラム作成?学生評価などに関するワークショップ」、国内外の医学教育に関する識者による講演や対談に教員全員が参加する「医学教育に関するセミナー」、臨床実習指導者を対象とした「診療参加型臨床実習指導者講習会」、地域医療実習指導者を対象とした「地域医療実習に関する教育ワークショップ」を、講演形式だけでなく双方向?参加型で行っています。これによって教員の教育スキルの向上、アクティブ?ラーニング型授業の導入による学修意欲や学修成果達成度の向上など、目に見える成果が上がっています。