帝京大学は2016年4月、ユーラシア大陸を東西に貫く文明の交流の道であるシルクロードの学術調査を目的に、帝京大学文化財研究所および文学部の教員を中心とした「帝京大学シルクロード学術調査団」を結成しました。「帝京大学シルクロード学術調査団」の研究テーマは、シルクロード沿いの拠点都市の1つであったアク?ベシム遺跡の発掘を通して、その当時の人びとの生活、歴史、文化を解き明かすことです。また、過去だけでなく、現在そこに住んでいる人びとが、その土地が持つ自然環境の中でどのように生きてきたのかの調査も、大きな研究テーマとなっています。
キルギス共和国は中央アジアに位置する旧ソビエト連邦の共和制国家です。国土の3分の2以上が標高3000mを超える山々で覆われており、中国との国境には天山山脈が延び、南に位置するタジキスタンに向かってパミール高原が広がっています。この高い山と東西に細長い地形から、さまざまな気候や景色、植物などが楽しむことができます。
アク?ベシム遺跡は、かつてスイヤブと呼ばれていた都市で、2つの都市が隣り合っている中央アジアでも極めて稀な遺跡です。西側にはシルクロードの交易の民であるソグド人が建設したとされる都市(第1シャフリスタン)が、東側には中国の唐が建設した「砕葉鎮(さいようちん)城」(第2シャフリスタン)が位置しています。インドへの求法の旅に向かった玄奘は、630年頃に、現在、第1シャフリスタンと呼ばれている「素葉水(スイヤブ)城」を訪れたとされ、中国唐代の詩人の李白が生まれた場所であるとも推測されています。
キルギス共和国調査~自然編~
帝京大学シルクロード学術調査団 キルギス共和国調査の様子をご紹介します。本動画は、英語?中国語?ロシア語でも閲覧することができます。
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2019年4月~5月にかけて、通算で7回目となるアク?ベシム(スイヤブ)遺跡調査を行いました。第1シャフリスタンでは街路とその両側に建ち並ぶ建物群が見つかり、ソグド人が建設した街の様子が明らかとなってきました。安西四鎮の1つである「砕葉鎮城」跡の第2シャフリスタンでは、軍事拠点であった街の構造を明らかにする鍵となる大型の建物の基礎である基壇がいくつか見つかりました。また、かつてのゴミ穴からはたくさんの土器や動物骨、植物の種子などが発見されました。
帝京大学シルクロードの学術調査団は第一弾の調査として2015年6月~7月および10月~11月にわたって、現地の調査を行いました。その後2016年に計3回の調査を行い、さまざまな考古学的な資料を発掘。2017年5月の第1次調査では7世紀後半のものとみられる大量の瓦を発見しました。この発見により、ここに当時の中国王朝の唐がシルクロードに築いた最も西の軍事拠点である「砕葉鎮城」が存在していたことが確認できました。
2018年4月~5月の調査では、第1シャフリスタンおよび第2シャフリスタンで発掘を継続しました。唐の西方進出の軍事?行政拠点であった安西四鎮の1つである「砕葉鎮城」跡では、7世紀後半のものと推定される石敷き遺構と建物の一部を発見しました。
2019年
2018年
2017年
帝京大学シルクロード学術調査団 キルギス共和国調査~遺跡発掘編2019年~は、英語?中国語?ロシア語でも閲覧することができます。
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