帝京大学福岡医療技術学部診療放射線学科
講師
牧永綾乃 先生
ドレスデン-ロッセンドルフ研究所(ドイツ)、甲南大学、北海道大学などを経て、2018年より現職。原子核物理学を専門とし、医療分野への応用に特化した研究で成果を上げている。国内外の科学啓蒙にも積極的に参加。
放射線を照射して病気を診断する機器の研究や、がん細胞を減らす治療に活用される研究分野。この技術は建築分野や宇宙開発分野にも応用される。
IAEAは情報提供活動に積極的で、放射線治療設備を備えた病院がない国や地域にも研究者に依頼して講演を行なっている。日本では、京都に拠点があるNPO「あいんしゅたいん」が同様に科学の普及活動を行なっている。
原子核物理学の研究施設は数が少なく、実験が行われると論文化され、成果が認められるとIAEAに登録される。そうしてIAEAに集約されたデータには、世界中の専門家たちがアクセス、シェアできるようになっている。ネットワークを通じて、研究者のもとにプロジェクト参加依頼があるのも日常茶飯事。
世界的な課題となっているSDGs。物理学のネットワークをヒントに研究者がコミュニティをつくり、各国が取り組む事例や研究成果をデータベース化するなど、ネットワークシステムが構築できれば、持続可能な社会の実現に貢献できるはず。原子核物理学の研究は、研究成果という具体的な社会課題解決の提供に加え、叡智のネットワークの実例としてSDGs解決のヒントを与えてくれる。