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研究とSDGsのつながりを知る。TEIKYO SDGs Report 帝京大学の先生たちが行っている研究活動内容がどのようにSDGsとつながっているのかをひも解きます。 研究とSDGsのつながりを知る。TEIKYO SDGs Report 帝京大学の先生たちが行っている研究活動内容がどのようにSDGsとつながっているのかをひも解きます。

今回の先生
今回の先生

帝京大学文学部社会学科 
教授

渡辺浩平 先生

どんな先生?
どんな先生?

京都大学工学部衛生工学科卒業後、同大学大学院文学研究科にて地理学を学ぶ。ケンブリッジ大学に留学。地球科学地理学科大学院にてM.Phil、Ph.D.の学位を取得。大学時代から現在にいたるまで一貫してごみの研究を続けている。

WHAT ARE 17GOALS OF SDGs?
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「ごみ」はSDGsの象徴的存在?廃棄物=ごみには人間社会のあらゆる情報がつまっています。また、現代社会は自然界にはない素材が誕生したことでごみの複雑化が進んでいます。ごみ課題の本質は「捨てなくて済む」社会構造をどのように実現するか。ごみの課題を考えることは、SDGsが理想とする社会を考えることとほぼ同義であるのです。

科学技術と産業技術の発展により「廃棄物=ごみ」の複雑化が進む

東京近郊における食品廃棄物細組成調査の様子

自然界に存在しない人工素材の急増と生活様式の変化のため、ごみは複雑化している。渡辺教授は、さまざまな国でごみの量や中身を分析し、詳細な組織調査によって質を把握。また、いろいろな材質のリサイクル度合いなどを推計する分析も行っている。

日本でも法整備され生産者側の「つくる責任」が求められる

人工物質の廃棄物は、自然の浄化能力に委ねられる段階まで人間が処理することが最低限の責任。日本でも、大量生産、大量消費、大量廃棄型社会からの脱却を念頭に「循環型社会形成推進基本法」が2000年に施行され「拡大生産者責任」が加わった。

廃棄するとは、どういうことか「捨てる」の意味を知る

購入したおにぎりをひとつ廃棄すると仮定する。それは、米などを生産から調理加工、流通のプロセスにかかった人やモノの経費や労働をすべて無駄にしたということになる。では、次にひとつでも少なく買えば解決するかというと、必ずしもそうではない。

流通システム全体を見渡し必要量を把握することが大切

小売店ではそもそも品切れをおこさないよう仕入れるため、残ったものは廃棄される。製造業では急な追加注文に応じられるよう過剰生産し、何事もなければそれも捨てられる。こういった流通システム全体を通して見ていないため、全体の廃棄量が把握できていない。結果的に生産者が農地を広げようと熱帯雨林伐採などによる農地確保が生じている。

現状を正確に理解し認識を変革するために国際的な取り組みも必要

「食品ロス」という和製英語は、英語のフードロスとは意味が異なる。国際的には食品廃棄物はフードロスとフードウェイストからなり、生産者から消費者までの各段階で取り組みが進められている。各国との比較や良い事例の転用導入などで行動の精度を高めていくためにも、用語の定義の標準化も必要。

3Rで「捨てない」を実現し「ごみが出ない社会」をめざして

「捨てない」を実現するためには3Rの中でも余地の大きいリデュースとリユースを進めることの意識が必要(リサイクルはかなりのエネルギーが必要であり、大量消費、大量リサイクルでは環境負荷は減らない)。ごみの課題を解決することは、望ましい物質循環のあり方を追求し、新しい社会を創造することにつながる。ごみの中には、SDGsに貢献できる多くのヒントが眠っている。